まだ暑いとまでは言わないが、花小金井もすっかり葉桜となった。
庭の端に植えられたブラジルの花であるイペーの木の花が咲いている。この木はブラジルに移民となったおじいちゃんの親戚から贈られた大切な木。戦前に日本が貧しかったこととブラジルの移民受け入れが重なって多数の日本人が移り住んだ。しかし移り住んだ先は開拓しなければならず過酷だった。それでも日本よりは良い生活を送れていると思っていたそうだが、戦後に日本を訪れると、目まぐるしい日本の発展ぶりに度肝を抜かれたそうだ。隣村では11世帯しか無かった村は都心と街続きになりビルも建ち始めていたのだから当然だろう。
きっと親戚は貧しい日本への応援のつもりで苗木を持ってきてくれたのだろう。そんな複雑な思いを受け止めたかったのか、おじいちゃんは亡くなるまでこの木を大切に育てていた。ブラジルの現地に植えられているイペーや親戚の写真も保管されていて、今はオレが持っている。イペーの隣でイロハモミジが寄り添っているようだ。
またブルーベル(ツリガネズイセン)やツツジが咲き始め、庭は芝桜の絨毯が敷かれ、梅には実がなっていた。スイセンのあたりにはてんとう虫を見つけた。おじいちゃんが植えた花々を摘んで、押し花のために持ち帰った。