かんじた

友達に負けない大切な存在、無用と呼ばれ生命線になったトンネル

COTA
このような話を「言葉」からみる

映像だけでは受け取ることが難しい方に贈ります

  • こんな苦しい時代なのに、 選挙(せんきょ)でも上の世代が 世界を変えようとしないのは なんでですか?

    ”タイパ(時間のこうりつの速さ)を求め続けるとそんをする” より
  • 自分は失敗ばかりしていて いやになります

    ”失敗ばかりしているように感じる” より

人間関係がうまく気づけず苦しい。自分はおかしいかもしれない。そう思った時に見て欲しいものがあります。

まっすぐで均等な都市

私COTAが小学校4年生の時に地元の電車に乗っていたら隣に座っていた同い年くらいの男の子が「なんで電車はカーブしてるの?まっすぐ引けばいいのに。頭悪いよね」とお母さんと見られる人に話しかけていました。その頃COTAは地形にも興味を持ち始めていた頃で、その言葉に強い違和感があったものの、うまく説明できませんでした。

また大人になってからも都市の話をした時に、無駄な場所を更地にして使いやすいようにしちゃえばいいという考え方に触れたことがあります。例えば森ビルのやっているヒルズはまさにそういったことを具現化しているわけですが、それは違和感だけでなく嫌悪感があります。

もし全てが平坦でまっすぐに伸びた電車や道路があり、一つの場所に全部が集約されたビルが等間隔にあったとして、それは本当に機能的と言えるでしょうか?

今回訪れた青森・平川市の盛美園には日本庭園があります。縦横に並べたり左右対称に見せるグリットを基本とした西洋の庭園と違って、日本庭園は一見すると人が作ったものとは思えないように感じられるものです。

これはそもそも世界の主役となるものが人間にあるか、自然の中に生きさせてもらっている人間かという人間の在り方の違いを表しているようにも思います。そしてパッと見ただけでは分からないものの、庭園を一周すると様々な見せ場やストーリーが込められていることに気づきます。

木が太陽を受けて成長し、水が流れて川となり、池には鯉が泳ぐ。全てが有機的なものの上にあり、あるいはそれを模しています。日本は他国と比べても地震や津波、土砂災害や台風など自然災害の多い部分と、豊かな自然からたくさんのものを受け取って生きて来ました。

今のエコやSDGsなどをいうまでもなく、自然には抗えないという前提があるように思います。だから街の区割りも古くから変わらないまま更新されて来ている。それは結果的にそうなっているだけと言われればその通りですが、無意識に大切な部分を守り抜いた、その結果が今世界から評価される日本文化に繋がっているように思えてなりません。

だから冒頭で小学生が言っていた発言に、今なら答えられるような気がします

六本木の街を歩いて話ました
ブロックチェーンと未来の痕跡
ブロックチェーンと未来の痕跡

居眠りをしなくても破壊する議員を選ぶのか

最近目につく政治の話では、裏金問題や居眠り議員に矛先が向かっていて、批判の声こそあちこちで聞くようになったものの、ではどうして未来を作っていくのかという話に関しては耳に届きません。

確かにそう言ったお金や向き合う姿勢というのは良い方が信頼できます。ただ本質的に言えば日本の議会は読み合わせが前提となっていて、それを構造的な問題ということもできますが、そこも背景となる理由があります。少なくとも表面上の議員や政党の問題で終わりにするのは浅はかです。

成熟した社会において、無駄をあぶり出すことに執着していくと危険な落とし穴があります。それは未来を閉ざしてしまうという可能性です。

目の前のお金の帳尻を合わせることも大切ですが、そこばかり気にしていて大きな挑戦を妨げたり、あるいは(癒着などの悪い面もありますが)お金では代えられない築いて来た繋がりを切ってしまうのは、将来に大きな損失をもたらせてしまう可能性があります。

個人的な感覚として政治家というのは元々お金に執着があるものだと感じます。批判する政治家たちも新たな発想や提案を置いてけぼりにしてまで裏金への指摘がしつこいのも、お金に執着していることへの裏返しではないかと思います。ちょっと過激な思想と思われても仕方ありませんが、破壊されてしまうくらいなら適切な方向に導いてくれるのであれば、金を多少は多めに持っていってくれてもいいとさえ感じることもあります。

何万円の単位の指摘に、数千億円の可能性を決しているのでは損をするのは国民の方です。政治家以外もそうやって時間をかけて監視しているのであれば、建設的な方向に持って行ったほうがましでしょう。

かつて新幹線は「無駄」だった

こう話しているとCOTAは「無駄」を価値と見ているようなおかしな人として映ることでしょう。実際その通りです。なぜなら無駄が安心と未来を与えてくれるからです。

今回訪れた青函トンネルは建設時にはすでに飛行機で本州と北海道の行き来ができていて、危険でお金もかかるトンネル建設には「昭和三大馬鹿」、「無用の長物」、「泥沼トンネル」と批判を受けました。しかし現在は第二青函トンネルの建設が要望されているだけではなく、鉄道用のトンネルだけでも貨物輸送と新幹線で手一杯の状況です。

そもそも「新幹線」というものこそ、今では海外でも Shin-Kansen として特別な電車として認知されるようになっていますが、最初の建設にあたっては風当たりが強いものでした。当時は自動車が台頭しており、アメリカでは速度の遅い鉄道は将来性がないものとして次々と廃止されていました。それは日本人も同じで、自動車や飛行機が出てきた中で鉄道に未来を感じた人は少なかったのでしょう。鉄道を高速化させようという発想もなかったわけです。

しかし今は自動車を上回るスピードで効率的で省エネルギーな乗り物として技術革新を重ね、鉄道は日本で最も利用されている交通手段になっています。これらは今でこそ当たり前の光景ですが、当初は想像もできなかったわけです。

以前のオタク展の話の中に建築家の磯崎新先生がコントロバーシャル(矛盾)と言って、「いい!」と思う人と「ダメだ!」と感じる人が両方いる考えや状況こそが未来を作っていく可能性があるという話をしていました。

以前お話ししたオタク展とは?
恥ずかしさが楽園の都市を産んだ
恥ずかしさが楽園の都市を産んだ

みんながダメだというものは当然ダメですが、全員がいいと思うものは発展の可能性がないわけです。だから「無駄」とか「嫌悪」と言った状況が一緒にある場所から未来というものは作られてきました。

本当に無くしていいのか

似たような「無駄」についての話として、過疎地域の鉄道の廃線の問題があります。これはもはやみんなの共通認識として「問題」にもならなくなって来たと思います。COTAも利用者がいない路線に民間企業がコストをかけて走らせることはおかしいと思います。

それよりも根本的な問題として、運営方法がそれでいいのだろうかと思っています。ジェイアールという民間企業が走らせてる路線も、かつては国鉄として国が運営していました。それが民営化したのには当然の経緯がありました。

ただその国鉄というのは独立した組織で、全国各地の地方の誘致運動に利用されて人の乗らない路線が増やされていた一方で、その組織単体での意思決定がほとんど反映されず、新しいことへの挑戦も許されず、借金だけはさせるという背景がありました。

国鉄時代の車両とCOTA

民営化によってサービスがよくなったという声も聞かれましたが、言ってみれば詰んでしまう状況を作っておいて、限界が来た時に民営化をさせたところもあるわけです。

かつて日清戦争や日露戦争の時代には鉄道の重要性が説かれ、各地に散らばっていた民間の路線を国が一体して経営するに至った背景もありました。戦車の輸送を行うには道路は限られており、また輸送効率も悪く、国の安全保障的にも重要でした。

改めて、いまは戦争だけでなく地球環境問題や少子化などの問題が出て来た時に構造を変えることなく今見えている部分だけで無駄と切り捨ててこのまま無くすだけでいいのかという余地はあるだろうと思うわけです。

津軽線の廃止区間に思う

乗車した津軽線は2022年の集中豪雨によって蟹田駅から先の終点・三厩までが運転見合わせになっています。この代替手段として、すでに実証実験が始まっていた「わんタク」にその輸送を任しています。

訪れた龍飛崎は初めての訪問でした。地元の方からすれば自動車の方が便利な地域であっても、どうしても他の地域からの観光となると鉄道というのは無類の安心感があります。

これは単に自分の思い入れだけではなく、たとえば地図ではわかりやすく表示されること、タクシーはもちろんバス以上に鉄道の場合は国によってダイヤ(電車の本数)の届出を事前に行なっていて容易には改変できないことなどもあります。

レンタカーやカーシェアで観光できることは事実ですし、そのほうが事前に決めておいた場所をより多くのところを回れることもあります。ただ電車に乗っていると地元の人の会話が聞こえてきたり、思わぬ発見をすることが多いものです。

北海道の夕張では、鉄道の廃止を自治体の要望で早めた取り組みで話題となりました。公共交通でもバスの方が中心地(札幌)への直行も確保でき利便性が高いため決定したわけです。ところが2024年9月に夕張・札幌直行便は廃止となりました。2019年から5年ほどの利便性でした。

この区間は北海道庁の鉄道廃止の方向性もあって、いずれにせよ廃止は決定していた区間ではありますが、このようなことはここに限らない話です。

最近の成功例

逆の例として最近だと宇都宮ライトレール(LRT)の話があります。路面電車の走っていない自動車社会の宇都宮に路面電車を走らせることになりました。これは私COTAも生活として鉄道が定着していない地域で「長期戦に耐えられないと厳しいだろう」と思っていました。

宇都宮はただ走らせるだけでなく、富山市の成功を見たのでしょう。交通形態そのものを再編させる意気込みで取り組んだのです。地元バス会社の反対や一時は政権が(「民意なきLRT導入を阻止する会」などの)民主党に変わって絶望的な状況にもなったものの、粘り強い交渉や詳細な設計を続けて2023年8月に開業させます。

宇都宮と芳賀結ぶLRT 累計乗客数500万人超に 沿線活性化で高まる延伸への期待
宇都宮と芳賀結ぶLRT 累計乗客数500万人超に 沿線活性化で高まる延伸への期待

その結果、開業1年後の9月には想定の利用客を超えて500万人を突破。むしろ輸送力確保のための増発がされ、現在のところ大成功となっています。

日本の鉄道の民間→国営→民間という流れ

1906年・明治39年鉄道国有法に公布され、地に散らばっていた私鉄(民間鉄道)の多くを国が保有する国鉄に集約します。これは国の安全のためでした。

1949年・昭和24年には日本国の鉄道省から分離され公共企業体として発足したものの、根幹は国が決定していました。戦争引揚者の雇用対策で大量採用し人件費が上昇するなどして赤字経営に転落します。

しかし国鉄は国から他業種への参入も認められず、しかも全国の自治体から利益誘導の政治的な活動によって赤字路線の量産をしなければいけない状況が続きます。それでも補助金は交付せず借金をさせ、国鉄の赤字を急速に拡大させ取り戻せない状況に陥ります。民営化が決定したものの、北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州のエリアのジェイアール(JR)に分けられ分断を招いています。

国外では都市内の交通を民営企業が行い、都市間交通は国が整備する形が多くとられています。全てを民営化した日本では結果的に都市で得た収益を地方で消耗する形となり、利益確保のため地方路線の廃止を進めざるを得ない状況が生まれているわけです。

企業としては収益にならない部分をやめていくことは当然ですが、特に都市間・広域的な鉄道のネットワークは全体で完成する意味が強いため、その一部の廃止というものが国全体の血流を悪くさせることになります。有事の際の物資輸送や避難など代替ルートとしても利用できなくなります。

友達や同僚に負けないくらい大切な存在がある

人間関係は横のつながりにおいて苦しめられやすく思います。そこで過去を見つめ、未来を向くことはそう言った人間関係のしがらみも軽くして世界を明るい方向へ導いてくれる可能性を秘めていると思っています。

あなたを形作って来たのは友達などの繋がりもあるかもしれませんが、しかしおばあちゃん、ひいおじいちゃんと代々繋がっていることは確かです。

高いところに登ると遠くの景色がよく見えます。当たり前のことですが、本当に当たり前にできているでしょうか?

過去を振り返って見ると、無駄と思ったことも新しい未来を作ってきた経緯があって、たとえばあなたがあなたである理由と言った本質的な部分が見えてきます。それは人間だけでなく街も、政治も同じかもしれません。

ツリガネニンジン

言ってみれば生きるということも極端な話では無駄です。食べ物を食べて、排泄をして、動いて寝ての繰り返し。無駄を全て省いていくとどうなるか。それこそ人間としての営みも消えてしまうだろうと思うわけです。

ここでいう無駄とは誰かに対するマウントを取ったり、悪意を込めて動くことではありません。それは良心や正義感の裏返しであって「無駄」とも違うからです。

歴史と睨めっこしなくても、画面との睨めっこをやめて遠くを見つめているだけで見えてくるものもあるかもしれません。遠くを見てみませんか?

未来の種を蒔いていくために

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