変なお話、「ライブに行く」「ペンライトを振る」という行為でさえ、照れくさくて自然にするようになったのも最近のこと。知る人にとっては専門学校でパンツをあたまに冠り講師陣の前で発表していたじゃないかと思われているようですが、自分をどうしようもないものとして卑下して晒すことと、そんなどうしようもない存在がきらきらした場所にお邪魔すること。それとこれとは自分の中で正反対なくらい別です。

数千人以上のライブに行くことが多いものの、やはり数百人程度までのライブは特別なものです。観客という立場を通しながら、存在が「大きすぎる人」ではなく、ちゃんと知っているよと自分に言い聞かせることができる。そして何より、地声が届き、また目が悪い自分でもじゅうぶん顔を見れるから。

以前見た好きな映画「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と同じ制作陣が制作した映画ということで足を運んだ「心が叫びたがってるんだ。」。そのヒロインを演じられていたのが水瀬いのりさんです。

以前から各メディアで度々お声は耳にしており、自分自身もNHK朝の連続テレビドラマ小説「あまちゃん」でそのお姿を拝見し印象として残っていました。でもなかなか自分の頭の中ではリンクしていませんでした。同映画を見た後、インパクトにやられ、消化しきれない胸の高鳴りを「どうしよう」と思いながら、「ファンクラブとかあるんだろうか」と帰り際に知人につぶやいたことが今回のスタートライン。

表現にみる

高くても透明感があるため聴き感触りのいい声です。聞き入ることも聞き流すこともできる。そういうと特徴がない声に受け止められると思います。

でもよく聞くと細かい部分に水瀬いのりらしさが現れています。

基本的にはトゲもなく穏やかな声質ですが、ライブの歌でもじっくり聞くこともできる表現と、激しい曲調で盛り上げる部分の両方をバランスよく兼ね備えていて、同一曲中の歌い分けも何か物語を聞いているようなメッセージ性があります。

歌の中でも細かい表現で言えば、「なにぬねの」(鼻音)などが語尾につれて丸みを帯びた優しい発音で嫌味が一切なく、語尾を少しだけ伸ばしてその後の部分での変化を意識されているようなので、穏やかな口調でも変化に富んだ表現を見せつけてくれます。

これは他でもない役者らしい歌であり、アニメソングの特性を遺伝子レベルで受けて育ったことの証です。

変化の中で受け継がれるDNA

私は声優・水樹奈々さんを長らく応援してきていました。水樹奈々さんのデビューを何と無く知っている自分にとって、水瀬いのりさんを見ていてもどうしても意識してしまいます。

それはきっと両者の役者という表現分野についての姿勢が、見る側に意識させてしまうところがあると思います。それぞれの歌というのは別物であり、容姿・性格・声質などは当然異なります。

特に性格的な面では、やはり水樹奈々さんよりも若いこともあって今の人たちの感覚に非常に近い世の中への見方があります。例えばオタクというものについて、それが特別でもなくなった時代を反映していたり。気合いの表現一つとっても、性格による違いはありますが水樹奈々さんの奮い立たせる言葉遣いではなく、今らしい穏やかさを包み込んだ強さに変わっています。

個性のアピール方法の変化で言えば、水樹奈々さんのさらに前の代に当たる声優・林原めぐみさんからの変化を見てみると、徐々に自分のキャラクターを出して行く時代に変化してきていることを感じます。そしてきっとこれはさらに強まっていくものだと思います。

水瀬いのりさんが幼い時から他の歌い手の方の何を意識して繋がっているかというと、そこが明言されることはこの先もないでしょう。演技をする上で大切なキャラクター作りは、人によって異なるし、そこを明かしたところで一般の人には理解がしづらい。でも彼女自身は明らかに、水樹奈々さんの表現に接して育って来ていて、物事の受け取り方や言葉の表現の端々にその面影を見ることができます。

それだけだと話は終わってしまうので、実際に最も彼女らしさが溢れているであろうファンクラブイベントのレビューを乗せて、この先止まらないであろう彼女の成長に思いを馳せたいと思います。

町民集会というイベント

参加した二回目の「いのりまち集会(ファンクラブイベント)」はラフォーレ(東京原宿)でした。第2部と第3部に参加。前半は伊波杏樹さんを交えたラジオ収録パート、後半はライブパート。一回目(2015年1月東放学園映画専門学校)は参戦できなかったので、前半のラジオパートは事実上水瀬いのりさんを知る上で非常に大切な機会となりました。

今年はシンフォギアライブ2016にも参加しており、そこでは水瀬いのりさん・水樹奈々さんが肩を並べられていたわけですが、その際に水瀬いのりさんがかねてから憧れという水樹奈々さんについてどういう感じなのかが気になっていました。ただシンフォギアのライブではライブパートが盛りだくさんとなっていたこともあり、関係性などは詳しく知ることもできなかった。

今回の「町民集会」では「まちの写真館」として、なか卯の店内に貼られた水樹奈々さんのポスターにうっとりする水瀬いのりさんの写真が第二部冒頭で映し出されました。

伊波杏樹さん「かわいい」
水瀬いのりさん「(水樹奈々さんが)かわいい」
水瀬いのりさん「ただのオタクです。つぎ!」

といった流れがありました。

後半のライブパートは、ご本人の曲以外はすべて1番のみでしたがその分盛りだくさん。ライブパートはその中でも「キャラソンリクエスト」と「ノンジャンル」に分けて、くじ引きで決めらました。

第二部のノンジャンルでは
secret base~君がくれたもの~(あの花ver.)
ガラスの華(WHITE ALBUM)

など私の年代としても思い入れのふかいもの。

secret baseについては冒頭の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」関連と言うことで歌われましたが、(メインヒロイン本間 芽衣子役)茅野愛衣さんについては、「今でも会うと芽衣子がそこにいるみたい」と、触れられていました。本来ならさらっと流されてしまいがちですが、このような一言が自分の好きに繋がっていること、思い入れを感じることができて非常に嬉しいですね。

『ガラスの華』はオーディションの時に14才の時に歌った曲とのこと。その「ガラスの華」を歌っている水樹奈々さんもまた、同じく空くアプラス系の作品「Feeling Heart」でオーディションを受けていたという話が昨年の大アクアプラス祭で披露されていたので、ここら辺は脈々と受け継がれているような気がして感慨深いです。

第三部のノンジャンルでは
ETERNAL BLAZE(水樹奈々)
プラチナ(坂本真綾)

などと、ここでも非常に素晴らしい組み合わせになっていました。

盛り上がりとしては客層的にもETERNAL BLAZEが熱気溢れていましたが、プラチナが出た瞬間はざわつきに近い衝撃をみんなが受けていたのが印象的でしたね。

このプラチナについては、ペンライトを振っていると非常に幸せで満たされた気持ちになります。恐らくテレビでリアルタイムで放映されていたときからだいたい20年くらい。その時を越えて、いままさにこれからを感じさせる声優が歌い上げ、そこに受け継がれていく事への嬉しさ。

みんなが掲げているクローバー型のペンライトが上へ向くたびに、ステージ上の水瀬いのりさんが高みへと目指していくような、高揚感と郷愁と期待が混在した気持ちになりました。

各部とも最後は水瀬いのりさんご本人が出口に出て見送っていただけました。「しあわせ いのりまち」と題された場。理由はそれぞれでも、みんな笑顔でラフォーレの階段を降りていく姿が印象的でした。

いつまでもこの場所が幸せでありますように。

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